「令和5 年度神奈川県食品衛生監視指導計画(案)」への意見

2023年03月01日

神奈川県生活協同組合連合会
専務理事 庭野文雄

平素から県民の食の安全・安心に関わる重要な取組みにご尽力頂きありがとうございます。また、食品衛生監視指導計画の改定にあたっては毎年、当連合会に対し説明と意見交換の場に臨んでいただき、この場を借りて御礼申し上げます。コロナ禍での監視指導が続いており通常とは異なる事柄も多いと思いますが、積極的な安全への取り組みが進められることを期待して意見を述べます。

1.食中毒予防対策について

(1)寄生虫による食中毒予防対策(P3)

アニサキスによる食中毒がここ数年、30 件から40 件程度発生しています。「関係する飲食店、魚介類販売店」に対する監視指導は引き続き強化していただきたいのですが、利用者や県民への注意の呼びかけや情報提供を行う工夫を進めていただきたいと考えます。

(2)持ち帰り・宅配食品による食中毒予防対策(P4)

食品の持ち帰りや宅配等のサービスの増加に伴って食中毒リスクが高まります。気温や湿度の上昇に影響を受けやすい食材やメニューに対する監視指導を強化するようにお願いします。

2.HACCPに沿った衛生管理に関する指導について(P4)

(1)小規模な営業者等にとっては、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の適正な実施が難しい場合もあることが予想されます。引き続き、業種別手引書の活用を含めて丁寧な助言・指導をお願いします。
(2)県外の自治体の事例になりますが、HACCPを適切に実施している事業者に証明書を発行している事例もあります。証明書の発行ができないとしても、県としてHACCPを適切に実施しているかどうかについて定量的に把握し、公表することを検討してください。

3.収去検体数の減少について(P20)

収去検査等実施計画が21 ページに掲載されています(別表5)。令和5 年度は前年とほぼ同数となっていますが、令和3 年度の約8 割、令和2 年度の6 割となっています。この収去検査によって、2019 年度まで毎年少数ではあっても違反食品が発見されています。収去検査による牽制機能も期待されることから、検体数を減らすことには慎重であるべきだと考えます。

4.県民との意見交換及び情報提供について(P12)

(1)コロナ禍ではありますが、食品衛生・食の安全を確保していくうえでは、行政、市民・消費者、事業者の連携が必要であり、そのためのリスクコミュニケーションの機会を一層増やしていただくことを要望します。
(2)コロナ禍で開催できなかった「かながわ食の安全・安心キャラバン」を実施することに賛成します。県民の関心の高いテーマについて、参加型で開催することで食の安全に対する理解が深まることを期待します。

以上