相模原市人権尊重のまちづくり条例(案)の骨子への意見書
相模原市長 本村 賢太郎 様
神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 田中 知巳
相模原市が2023年11月17日に公表した「相模原市人権尊重のまちづくり条例(案)の骨子」(以下「骨子」という)は、2023年3月の相模原市人権施策審議会による「(仮称)相模原市人権尊重のまちづくり条例の制定について(答申)」(以下「答申」という)から大きく後退するものであり、全面的に「答申」に基づいたものに修正するよう強く求める。特に条例へ反映させるべき「答申」は以下の通りである。
第一に「答申」では「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」と同様、差別的言動を禁止し、勧告・命令を経ても止まない場合は、氏名公表及び秩序罰又は行政刑罰の対象とすることを求めたが、「骨子」は氏名公表のみにとどめており大きく後退している。
第二に、「答申」は2016年に「津久井やまゆり園」で入所者45人が殺傷された事件を「障害者に対する不当な差別的思考に基づくヘイトクライム」と条例前文に明記し、事件を非難し、共生社会の実現に向けた取組みを求めたが「骨子」では「痛ましい事件」としてのみ表現している。
第三に「答申」は差別的言動の禁止対象を人種、民族、国籍、障害、性的指向、性自認、出身を理由とするよう求めたが、「骨子」では本邦外出身者であることに限定している。障害者への戦後最悪のヘイトクライムである「津久井やまゆり園」事件が起きた現地であるにも関わらず障害者を含めず本邦外出身者に限定している点は全く理解しがたい。
第四に「答申」は不当な差別事案について市長が声明を発出することを求めたが、「骨子」では声明をだすことが「できる」にとどめている。
第五に、「人権委員会」から「市長に声明を発出するよう意見を建議すること」も不採用となっており、「人権委員会」が行政から独立し第三者的な機関ではなく「市長から意見を聴かれた場合」のみの機関として位置付けられている。
「答申」は本村市長自らが諮問し、有識者らで構成する相模原市人権施策審議会が3年半の期間で、23回もの議論を重ね、差別をなくす為の英知を集めた画期的な内容である。しかし、「骨子」は「答申」の精神を全く生かしていない。今一度「答申」に立ち返り、全面的に「答申」を反映させた条例に修正することを強く求めるものである。
以上