横浜市のIR誘致表明の撤回を求める意見書
2019年10月13日
神奈川県消費者団体連絡会
横浜市の林文子市長は、2019年8月22日、横浜市にカジノを含む特定複合観光施設(IR)を誘致することを発表しました。当連絡会では、これまで一貫してカジノの解禁に反対してきた立場から、以下の意見を表明します。
1.本意見書の趣旨
(1)横浜市のIR誘致に反対し、誘致撤回を求めます。
(2)横浜市がIRの認定申請をするのであれば、あらかじめ、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響について、十分に調査、評価したうえで、その調査、評価の結果を住民に提供し、それを前提に住民の合意形成を図ることが必要です。その際には、直接、住民の民意を問うべきです。
2.本意見書を提出する理由
(1)IR法(特定複合観光施設区域整備法)自体に問題があります
カジノを含むIRに対しては、ギャンブル依存症の増加をはじめ、青少年への悪影響や、反社会的勢力の関与、治安悪化やマネーロンダリング(犯罪資金洗浄)などの懸念があり、その懸念は払拭されていないと考えます。そもそもカジノ施設で行われる賭博行為は刑法上の犯罪として禁止されているものです。宝くじや公営ギャンブル、パチンコなどは現行法上一定の要件のもとに認められていますが、ギャンブルであることに変わりはありません。この上、さらにカジノ施設のような民間賭博を新たに認める合理的な理由はなく、むしろギャンブル依存を生み出す賭博関連施設を減らすべきです。
(2)横浜市民の多数の反対意見があること
2018年9月の横浜市中期4か年計画(素案)に関するパブリックコメントでも、IRに関する意見は全体の20.3%(433件)と、市民の関心が最も高く、このうち94%(407件)がカジノ反対を表明しています。また、この間の新聞社等の意識調査においても、カジノ誘致反対が多数を占めています(直近の朝日新聞横浜市民調査ではカジノ誘致に賛成26%、反対64%)。
(3)林市長は、2017年の市長選挙の際にIR誘致につき選挙で民意を問うていないこと
林市長は、2017年の市長選ではIR誘致に対して「白紙の状態」と表明して、選挙で民意を問うていません。横浜市民に多大な影響を与えるIR誘致については、市民の意見を踏まえて判断すべきです。