神奈川県消費者団体連絡会「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」の成立を歓迎します
神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 庭野 文雄
川崎市では、市内の公共の場所でのヘイトスピーチなど差別的な言動を禁止する条例(「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」)を、12月12日の定例市議会本会議で可決、成立させました。
ヘイトスピーチは特定の人種や民族などの少数者に対して、暴力や差別をあおったり、侮辱的な言葉をぶつけたりするもので、とりわけ、近年の日韓関係の悪化を背景に、在日コリアンが多く居住する地域で繰り返されてきました。
条例では、人種や国籍、民族、信条、年齢、性別、性的指向、性自認、出身、障害その他を理由にしたあらゆる不当な差別的取り扱いを禁じ、ヘイトスピーチを繰り返した者や団体に最高50万円の罰金刑を科しています。また差別解消のための施策を計画的に推進する市の責務を明記したほか、インターネット上の書き込みによるものを含む人権侵害の被害者に必要な支援を行うことも定めています。
日本国憲法および日本国が締結した人権に関する諸条約は、あらゆる不当な差別を禁止し、すべての市民に人権と人間の尊厳を保障しています。
ヘイトスピーチは、表現の自由で守るべき法益ではなく、処罰すべき犯罪です。全ての市民が不当な差別を受けることなく、個人として尊重され、生き生きと暮らすことができる人権尊重のまちづくりの推進は全ての市民の願いです。
2016年6月にヘイトスピーチ解消法が公布・施行されましたが、罰則規定が設けられていません。法施行後もヘイト行為が横行する状況の中で、今回、川崎市が、罰則付きの条例を、出席した全議員の賛成で成立させたことには大きな意味があります。
私たち神奈川県消団連は、この条例の成立を歓迎するとともに、差別をなくし、すべての人の権利と尊厳が守られる社会の実現に向けて、活動を進めてまいります。