紹介状なし患者への大病院受診時定額負担制度を 一律200床以上の一般病院へ拡大することに反対します
2020年2月4日
日本医療福祉生活協同組合連合会
代表理事会長理事 髙橋 淳
「令和2年度診療報酬改定の基本方針」(2019/12/10社会保障審議会医療保険部会)では、外来医療の機能分化として「大病院受診時定額負担制度の見直しを含め、大病院と中小病院・診療所の機能分化を推進。」と記載されました。さらに、全世代型社会保障検討会議中間報告(2019/12/19全世代型社会保障検討会議)では、「大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大」として、「対象病院を病床数200床以上の一般病院に拡大する。」と明記されました。そして、「遅くとも2022年度初までに改革を実施できるよう、最終報告を取りまとめた上で、社会保障審議会等の審議を経て、来年夏までに成案を得て、速やかに必要な法制上の措置を講ずる。」としました。
一口に200床以上の病院といってもその役割は多様です。地域によっては第一線のプライマリケアを担っている病院もありますし、耳鼻科や眼科、皮膚科などの専門診療科を有する中小病院・診療所が近隣にない地域もあります。一律に200床以上の病院に定額負担を義務づけることは、地域医療の崩壊にもつながりかねないと危惧するとともに、私たちが掲げる「医療福祉生協のいのちの章典」の「アクセスに関する権利(※)」に関わる大きな問題です。
※アクセスに関する権利:「私たちは、必要な時に十分な医療・介護のサービスを受けられるように社会保障制度を改善し、健康にくらすことのできるまちづくりを行います」
社会保障審議会医療保険部会では、「令和2年度診療報酬改定」にあたっての基本認識として「どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現」が挙げられています。また、全世代型社会保障検討会議中間報告も「具体的な負担額や詳細設計を検討する際、患者のアクセスを過度に制限しないよう配慮(後略)」と述べています。私たちは、あらためてさらなる社会保障制度の充実を求めます。
以上より、日本医療福祉生活協同組合連合会は「紹介状なし患者への大病院受診時定額負担制度(選定療養費)を、一律200床以上の一般病院へ拡大すること」に反対します。