わたしたちは、農協、生協、漁協、森林組合など協同組合の横断組織として、「労働者協同組合法案」(以下、労協法案)の一日も早い成立を強く要望いたします。
一般社団法人 日本協同組合連携機構
欧米をはじめ多くの国では、かねてより労働者協同組合に関わる法律があり、地域のさまざまな課題の解決に、協同組合がきめ細かく取り組むことを可能にしています。しかし、わが国では、分野ごとに農協法や生協法などは存在するものの、労働者協同組合に関わる法律はなく、その法制化は大きな課題でありました。
労協法案は「組合員が出資し、それぞれの意見を反映して事業を行い、及び自らが事業に従事することを基本原理とする」(法案第1条)労働者協同組合を法制化するものです。これにより、高齢化や人口減少、活力低下が進み、さまざまな課題を抱える地域において、課題に応じた事業の開始が促進されるとともに、多様な就労の機会が創出されることによって、持続可能な活力ある地域社会の実現につながるものと考えます。
わが国において労働者協同組合を想定した活動は、法律が存在しないため他の法人格を活用しながら、すでに約10万人の就労者を擁し、約1000億円の事業を実施していると推計されています。その事業は、自治体や地域の諸団体との連携のもと、介護・福祉や子育て支援をはじめ、高齢者、生活困窮者、障がい者、働くことに困難を抱える若者の就労や生活の支援など、地域のさまざまなニーズに応える分野に広がっています。近年では、担い手や労働力が不足する農林業等でも取り組みが見られます。
地域のさまざまな課題解決に取り組むには、それらに適した制度や法人形態を選択できることが重要です。労働諸法が遵守されつつ多様な就労を可能とする労協法案の成立は、まさにその選択肢を増やし、多様化することにつながります。そのことはまた、誰もがその能力を存分に発揮できることをめざす「一億総活躍社会」づくり、「地域共生社会」づくりに、協同組合としても貢献できる可能性を大きく広げるものであり、一日も早い成立を強く要望いたします。
以上
(参考)日本協同組合連携機構(JCA):わが国協同組合の横断組織として、持続可能な地域づくりに向けた協同組合連携の推進、調査研究を進めるため、2018(平成30)年4月発足。代表理事会長は中家徹・JA全中会長、同副会長は本田英一・日本生協連会長。