定期購入に関する被害防止のための特定商取引法の見直しについての意見(神奈川県消団連)
(宛先) 消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長、国民生活センター理事長 特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会委員長
2020年6月25日
定期購入に関する被害防止のための特定商取引法の見直しについての意見
神奈川県消費者団体連絡会 事務局長
庭野 文雄
販売サイト等で「1回目90%off」「初回実質0円(送料のみ)」など通常価格より低価格で購入できることを広告する一方で、定期購入が条件となっている健康食品や飲料、化粧品の通信販売に関する相談が全国の消費生活センター等に多く寄せられています(令和元年12月19日、国民生活センター「報道発表資料」より)。相談件数は年々増加しており、2019年度(2019年11月30日時点)にPIO-NETに寄せられた相談は29,177件と、2018年度の23,002件を既に上回っており、前年度比230%と激増しています。 国民生活センターでは2016年6月、2017年11月の2度にわたり、商品を注文する際には定期購入等の契約内容や解約条件をしっかり確認するよう消費者に注意喚起しましたが、その後もトラブルが増え続けていることから、再度消費者に注意を呼びかけています。 再三の注意喚起にもかかわらずトラブルが増加し続けていることからすれば、注意喚起だけでは不十分であり、消費者に誤解を与えるような広告や表示を禁止する制度の改善が必要だと考えます。
1.特定商取引法の見直しを含めた制度の改善を行うことを求めます
特定商取引に関する法律(特定商取引法)施行規則第8条第7号では、通信販売の広告に表示する事項として「商品の売買契約を二回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件」と規定していますが、どこにどう書くのかまでは規定していません。そのため、販売サイトの広告で定期購入が条件であること等が他の契約条件と離れて表示されているケースや表示されていても他の表示と比べて字が小さいケースのほか、何度もスクロールしなければ全体が表示されないページ途中に契約内容が表示されているケースなど、消費者に意図的に誤解を生じさせるような表示が発生しています。
また、申込確認画面について、「顧客の意に反して申込をさせようとする行為の禁止」(特定商取引法施行規則第16条)により誤解を招くような記載方法は禁止されていますが、初回分の商品価格のみが表示されているケースや表示はされていても目立たないケースなど、消費者が契約内容を認識しづらい場合がみられます。 商品の契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件を広告画面に一体的に記載することや、商品の効能効果や契約条件に関する強調表示に対して、打消し表示を離れた場所に記載することや、文字の大きさなどで誤認が生じるおそれがある記載方法を禁止することなど、新たな規定を設けることを求めます。
2.消費者庁は、事業者に対し、特定商取引法の規定を順守するよう周知し、違反行為に対しては厳正かつ適切な執行を実施することを要望します。