横浜市会 令和3年第1回定例会において「特定商品等の預託等取引契約に関する法律等の改正及び執行強化を求める意見書」が全会一致で採択されました
意見書は、「『預託法等の改正及び執行強化を求める意見書』の採択についての請願」として、内閣総理大臣認定適格消費者団体・特定非営利活動法人消費者支援かながわ並びに神奈川県生協連から、藤代哲夫議員と望月康弘議員を紹介議員として、国際・経済・港湾委員会に出され審査を受け、2月19日市会本会議において採択されました。
また、請願にあたり、関 勝則議員、尾崎 太議員、高橋正治議員、久保和弘議員に相談に乗っていただきました。議員の皆さま、ありがとうございました。
特定商品等の預託等取引契約に関する法律等の改正及び執行強化を求める意見書
近年、各種技術の進歩を踏まえた様々な製品・サービスの普及等の一方で、新製品・サービスの内容等を十分に理解できていない消費者の脆弱性につけ込む巧妙な悪質商法による被害が増加している。 こうした状況を踏まえ、昨年8月19日に消費者庁の特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会(以下、検討委員会という。)において、今後の対応に関する報告書が取りまとめられた。
特に、過去に大規模な消費者被害をもたらした悪質な販売預託商法については 販売を伴う預託等取引契約については、本質的に反社会的な性質を有し、行為自体が無価値であるとの捉えるのが相当であることから、販売を伴う預託等取引契約の原則禁止等と明記された。
消費者取引の分野では、定期購入であることを容易に理解できないような形で契約を行うものや、解約はいつでも可能としながら相手方と連絡が取れないなどの、いわゆる詐欺的な定期購入商法に関する相談が増加しており、深刻な事態と なっている。また、新型コロナウイルス感染症拡大による消費者の不安につけ込む 、いわゆる送り付け商法についても、社会問題となっている。検討委員会の報告書では、消費者の脆弱性につけ込む悪質商法の手口の巧妙化・複雑化には、断固とした対応が必要として、法執行の強化や実効性 ある制度改革が提言された。これらを踏まえた実効的な法制度の整備が必要である。
よって、国におかれては、消費者被害をなくすために、次の事項を実施するよう強く要望する。
1 検討委員会報告書の内容を踏まえ、今年の通常国会を目途に、販売預託商法を原則禁止とする特定商品等の預託等取引契約に関する法律の改正に向けた検討を早急に進めること。
2 いわゆる詐欺的な定期購入商法をなくすために、特定商取引法に関する法律に係る指針の改正及び法執行強化を図るとともに、今年の通常国会での特定商 取引法の改正を行うこと。
3 いわゆる送り付け商法については、現在の法規制の内容の周知を図ることに加え、諸外国の法制も参考に制度的措置を講じること。
4 国及び地方自治体が厳正かつ適正な法執行を行えるよう、体制確保に向けた措置や両者の連携強化を図ること。
ここに横浜市会は、全会一致をもって、地方自治法第 99条の規定により意見書を提出する。
令和3年2月 19日
衆 議 院 議 長
参 議 院 議 長
内 閣 総 理 大 臣
総 務 大 臣 宛て
法 務 大 臣
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)
消 費 者 庁 長 官
横浜市会議長 横 山 正 人
意見書の背景
消費者庁「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会(以下、検討委員会)」では、2020年8月19日に報告書がまとめられ、公表されました。
この報告書には、大きな社会問題となった豊田商事・安愚楽牧場・ジャパンライフ・ケフィア事業振興会・WILL(株)など、高齢者をはじめ、多くの消費者に財産被害を及ぼす悪質な販売預託商法については、本質的に反社会的な性質を有し、行為自体が無価値と捉え、「販売を伴う預託等取引契約の原則禁止等」と明記されました。
また、消費生活相談で増加している、お試しのつもりが定期購入問題は規制を強化、消費者の不安につけ込む、マスクなどの送り付け商法(ネガティブオプション)についても、何ら正常な事業活動とはみなされないものとして制度的な措置を講じる必要があるとされました。
この報告書の内容に沿って法改正が早期に進められることを望み、全国の消費者団体では弁護士会の皆さまとともに学習会や地方議会から国への意見書提出を働きかける取り組みが進められています。
神奈川県生協連でも消費者支援かながわ並びに神奈川県消団連とともに、2020年11月27日に消費者庁の笹路健取引対策課長に協力を頂きオンラインで緊急学習会を行いました。