「かながわ食の安全・安心の確保の推進に関する指針(第5次)(案)」に対する意見

2022年01月27日

神奈川県生活協同組合連合会
専務理事 庭野 文雄

県民の食生活における安全・安心の確保のために取り組まれている、行政及び食品関連事業者の皆さまに心より感謝いたします。

「かながわ食の安全・安心の確保の推進に関する指針(第5次)(案)」について、以下、質問・意見を述べます。

なお、「かながわ食の安全・安心の確保の推進に関する指針」は、2009年7月に制定された「神奈川県食の安全・安心の確保推進条例」に基づき、食の安全・安心の確保の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、県が取り組む総合的かつ中期的な目標及び施策の方向を示すものとして策定され推進されてきました。

条例制定の背景には、2003年に制定された食品安全基本法(以下、基本法)があります。基本法はその基本理念に、「国民の健康の保護が最も重要である」と位置づけ、リスク分析の考え方や地方自治体・事業者の責務と消費者の役割が明文化され、国の食の安全・安心に係る考え方は大きく転換しました。また当時は食品偽装問題や中国製冷凍ギョーザ事件が発生し、食品に対する信頼性は大きく低下していました。そのような状況から、神奈川県でも2007年12月11日、県内の8消費者団体と31生協により「かながわ食の安全・安心条例(仮称)制定をすすめる連絡会」が結成され、県条例制定を求める運動がすすめられました。条例制定を求める署名は個人署名209,996筆、団体署名1,815筆が寄せられ、今日の条例制定につながっています。

このような経過とこの間の指針にもとづく取り組みをふまえ、私たち自身の関わりを強めていく立場から、第5次指針が自治体・生産者・食品関連事業者・消費者・学者・専門家など、食の安全・安心の確保に係るすべての関係者による連携した実効性のある取り組みとしてさらに推進されることを要望します。

 

1.第4次指針の振り返りを記載してください

 今回の第5次指針(案)を策定するにあたって、「神奈川県食の安全・安心審議会」等を通じて、第4次指針の実施状況について丁寧に検証され振り返りが実施されていると認識しています。しかしながら、振り返りの内容が記載されていないため、今後の施策の方向や重点課題の取り組み内容について、理解しにくくなっています。

食の安全・安心の確保を推進するためには、県、県民及び食品関連事業者の三者が協力して取り組んでいくことが必要です。そして、そのためにはこれまでの取り組み内容についての共有化が大切です。簡潔で構いませんので、第4次指針の振り返りを記載していただくことを要望します。

 

2.HACCPに沿った衛生管理を適切に実施するための支援をお願いします 

第4次指針以降の大きな変化として、食品衛生法改正によるHACCP制度の導入があります。

「5.食品営業者等における自主管理の促進」で触れられていますが、HACCPに沿った衛生管理を適切に実施するために、とりわけ小規模事業者向けに県からの丁寧な支援をお願いします。

また、「6.食品営業者に対する監視指導等の実施」に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、食品の購入形態や提供方法に変化が生じていることをふまえて、HACCPに沿った衛生管理が適正に進められることを期待しています。

 

3.情報の共有化と意見交換を推進する取り組みを大いに進めてください

食の安全・安心の確保は、県が施策を実施していくだけでは達成できず、県、県民及び食品関連事業者がお互いの理解を深め、協力して取り組むことが不可欠です。その意味で、情報の共有化と意見交換を推進する取り組み(リスクコミュニケーション)を、引き続き重点課題とすることに賛成です。

また、リスクコミュニケーションの推進にあたっては、関係機関や関係団体との協力・連携が位置づけられていることから、生協や消費者団体と連携をして効果的な推進をしてください。

 

4.若い世代を対象とした取り組みを推進してください

「9.情報の共有化の推進」において、「学生等の若い世代を対象に、学校関係者や関係団体と連携を図りながら若い世代のニーズを把握し、その後の取り組みに生かす」ことが第4次指針から位置づけられており、大切な課題であると評価します。大学生協との連携した取り組みについて検討していただくことを要望します。

 

以上