「かながわグランドデザイン 第3期実施計画(素案)」に対する意見

2019年05月06日

神奈川県生活協同組合連合会
専務理事 小林 正明

「かながわグランドデザイン 第3期実施計画(素案)」に対し、以下意見を述べます。

2015年9月に国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」では、貧困や不平等の解消、持続可能な経済・社会の実現、地球環境の保全、平和と公正な社会の確立など17のゴールが掲げられました。

これを受け、国は2016年に「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部を設置するとともに、実施指針において、地方自治体が各種計画や戦略、方針の策定や改訂にあたってはSDGsの要素を最大限反映することを求めています。

神奈川県は都道府県としては唯一、国の「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」の両方が認定され、自らSDGsの取り組み推進の先進県としての姿勢を示されています。「かながわグランドデザイン第3期実施計画」の策定に当たっては、SDGsの要素を最大限反映されることが期待されます。とりわけ「素案」の資料「神奈川をとりまく状況」でも見られるとおり、今後くらしをめぐる状況が厳しさを増していく中で、SDGsのスローガンである「誰一人取り残さない」ことをめざし、神奈川の地域社会の持続可能性を確保・実現していくことが求められています。

  1. 「かながわグランドデザイン」とSDGsの関係については、プロジェクト編後段においての説明と、「具体的取り組み」の欄外へのSDGs関連目標ロゴマークの配置をもって留意されていますが、その関係性や位置づけについてはより明確に示す必要があると考えます。たとえば冒頭でSDGsとの関係性を説明することで、「具体的取り組み」とSDGsとの連関が理解され、「具体的取り組み」欄外のロゴマークの表記もより生きると思います。なお、概要版においては後段の囲みで極めて簡単な説明しかなされていないので、同様に冒頭のところで表現できる工夫を検討してください。
  2. 「誰一人取り残さない」神奈川の地域社会の持続可能性を確保・実現していく上で、特に以下の取り組みを重視して推進してください。

(1) 今後さらに不足が見込まれる医療・介護従事者の体制確保が急務です。厚生労働省によれば、神奈川県が2024年に必要とされる内科医の確保に年間325人の育成が求められ、また介護分野においても2025年に2万4000人の介護人材が不足すると県が推計されています。実施計画にある「安心できる地域医療の充実」を実現していくために、医療・介護体制の確保を進めてください。また、未病を防ぐための取組み、食(栄養)・運動(身体活動)・社会参加(交流)など健康づくりのための事業を積極的に地域団体・生協等と連携して推進してください。

(2) 再生可能エネルギーの導入・普及を、実効性ある施策のもとに強く推進してください。国の原発や石炭火力に引き続き依存するエネルギー政策に対し、県が原発に頼らず省エネ・再生可能エネルギーの促進をはかることは、東日本大震災と福島第一原発事故の体験から安全・安心で持続可能なエネルギーを求める県民のニーズと、再生可能エネルギーへと転換する世界の趨勢にも叶うものです。

(3) 本格的な人口減少や急激な高齢化が進む中、住民に持続可能な行政サービスを提供できるよう、市町村の状況に応じた支援を県として市町村の連携のもとに推進し、地域間格差が生じないよう対応を進めてください。とりわけ、高齢者や障がい者にやさしい街づくり、地域見守りや消費者被害対策、子育て支援、地域包括支援等、県民のくらしに密着した切実な分野での支援・連携を進めてください。

(4) 県が掲げる「ともに生きる社会かながわ」を、あらゆる差別をなくし、人権を保障するものとして具体化してください。今後さらに外国籍県民の増大が見込まれる中、ヘイト問題への対処をはじめ、だれもがその人らしく暮らすことのできる「多文化共生の地域社会づくり」を実効性ある施策のもとに推し進めてください。