私たちはゲノム編集食品の流通に強い懸念を持ちます

2019年07月04日

神奈川県生活協同組合連合会
代表理事会長 當具 伸一

「ゲノム編集」と呼ばれる遺伝子操作技術を使った食品(ゲノム編集食品)を流通させる際のルールについて、国の意見交換会が始まりました。

国は開発が進められている殆どのゲノム編集食品は、食品の安全性を確認する国の審査は必要はないものとし、開発者に対して事前の届出を求めるとする制度の方針を決めています。

食品表示については、国がゲノム編集食品について表示を義務化したとしても、通常の食品と区別がつかず違反を特定することが困難だとして、表示を義務化することに対して後ろ向きの態度をとっています。

日本で遺伝子組換え食品の流通が認可されたのは1996年。ゲノム編集も遺伝子操作技術の一つですが、操作効率の高さから遺伝子組み換えに比べて時間とコストがかからないとして、急速に実用化の方向に向かおうとしています。

人間の体は食べ物からできています。私たちの体に摂り入れる食品については、慎重に検討をするべきです。ゲノム編集食品について、様々な角度からの検討もされず、長期的なリスクに関する情報が公開され十分に吟味されることもなく、経済効果だけを重視した商業化が進められようとしている今の動きに、私たちは強い懸念を持ちます。

新しい食品の導入に際しては、常に以下を基本に対応をすべきです。

  • 予防原則を基本とする。
  • 作出された生物の登録と情報開示。
  • 消費者の選ぶ権利を担保するトレーサビリティ流通と表示制度の確立。

 

以下、要請します。

1.様々な角度からの検討が必要です。

摂取した際の異常タンパクによるアレルギーなど安全性の問題、環境中における遺伝子汚染の問題、巨大企業による種子独占の問題、そもそも申請がないことには国は十分な情報把握もできない問題など、ゲノム編集食品は様々な問題を抱えたままです。様々な角度から、長期的なリスクに関する情報が公開され十分に吟味されることを求めます。

食品安全行政の基本の「キ」は、予防原則です。

 

2.ゲノム編集技術についての国民的な議論はなされていません。

遺伝子を人為的に操作することについて、国民的な議論がなされているとは言えません。更に、ゲノム編集技術に登録・規制の枠組みがないまま、「経済効率の良さ」を理由に食品が開発されていくことは、国民の健康をないがしろにするものではないでしょうか。

 

3.国のあるべき態度としては、国民の健康を第一に考えるべきです。

市民社会の基本は情報公開です。ゲノム編集技術で作出された作物・家畜類(食品、飼料を含む)の情報公開を求めます。

国が常に取らなければいけない食品安全行政の基本を曖昧にしないでください。

  • 予防原則を基本とする。
  • 作出された生物の登録と情報開示。
  • 消費者の選ぶ権利を担保するトレーサビリティ流通と表示制度の確立。