川崎市のヘイトスピーチ条例の方向を支持します ~被害に遭っている人たちへの希望のともし火を~[神奈川県消団連]

2019年07月04日

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 小林 正明

川崎市の福田紀彦市長が、6月19日の川崎市議会において、「憲法が保障する『表現の自由』に留意しつつ、罰則規定である行政刑罰に関する規定を設ける」と述べ、条例の実効性の確保に向け、罰則規定を盛り込む方針を明らかにしました。成立すれば、差別的言動を禁じる条例に全国で初めて罰則規定が設けられることになります。神奈川県民・川崎市民として、川崎市のこの条例づくりの考え方に賛成します。

2016年1月に在日コリアンの殺害を叫ぶデモが、川崎区桜本をめがけて行われようとしたときに、新聞記者の問いに対して当時の川崎市人権・男女共同参画室の室長はこう答えたといいます。「法に触れているわけではない。法務省が作った啓発ポスターを掲示しているが、それ以上の対応は難しい。」と。忘れることはできません。

川崎市は、去年3月にはヘイトスピーチに公共施設が悪用されるのを防ぐため、事前に規制することを盛り込んだガイドラインを施行していますが、実効性の点で有効であるとはとても言えず、罰則規定は課題でした。

確かに、ヘイトスピーチ解消法の施行以降、「死ね、殺せ」というようなあからさまなヘイトは減ったかもしれません。しかし、巧妙で陰湿になって広がっています。政治団体を名乗り自治体議員選挙の立候補者としてヘイトスピーチを繰り返していた事はこの統一地方選で記憶が新しいところです。ヘイトスピーチ解消法の実行性が問われています。

川崎市では、ヘイトスピーチと呼ばれる差別的な言動など人種や国籍、障がいや性的指向などを理由としたあらゆる差別を禁止するための条例の制定を目指しているそうです。

行政が差別に向き合い、差別をなくす主体となること、差別者にとって不自由な社会にすることが大事です。差別の自由は言論の自由にはなりません。

希望ある市民社会のために、今回の川崎市の動き、そして神奈川県知事の答弁に強い関心を持ち歓迎するものです。