ゲノム編集技術に関する消費者団体との意見交換会
関東農政局消費・安全部は、神奈川の消費者団体と「ゲノム編集技術を利用して得られた食品等に関する 意見交換会」を開催しました。
いわゆる「ゲノム編集技術」は、近年新たな育種技術として注目されており、この技術を用いて品種改良された農作物等が開発され、食品として流通し得る段階を迎えています。
昨年6月に閣議決定された「統合イノベーション戦略」で、ゲノム編集食品を早く社会に出すよう関係省庁に求めている事が伏線となり、これまでの進行は流通開始まっしぐらの感があります。
消費者庁は、「ゲノム技術による変異か、そうでない変異かを現在の技術で見きわめることは難しく、表示制度を設けても違反者を特定できない」として、「実効性が確保できないので消費者の選択のための表示は行わない、業者の任意の取り組みに委ねる」と説明しています。消費者庁の使命は、「消費者行政の『舵取り役』として、消費者が主役となって、安心して安全で豊かに暮らすことができる社会を実現する。」である筈です。「表示」という食の安全・安心の拠り所となる課題から、所管する消費者庁が逃げているのでは、存在価値がありません。
欧州司法裁判所(ECJ)は、2018年7月25日、「ゲノム編集による作物は遺伝子組み換え作物と同じく自然には生じない」と指摘。「ゲノム編集の使用に伴うリスクは遺伝子組み換え作物と似ている可能性があり、予防原則であるこの規制を適用する」として、ゲノム編集により開発した作物も、従来の遺伝子組換え作物と同様に規制の対象とすべきとの判断を下しています。
消費者が安心・安全に暮らすために、商品やサービスを自主的、合理的に選べる環境を整えることは、消費者庁の役割です。また、自らの商品に関する情報を把握し、消費者に正確に伝えるのは、食品業者の当然の社会的責任です。
今回の意見交換会では、ゲノム編集技術の基礎知識や、ゲノム編集技術を利用して得られた食品 等の取扱い(生物多様性への影響の観点からの取扱い、食品としての安全性の確認手順、表示等) について、行政側から情報提供を行い、その後、参加者とグループで意見交換が行われました。最後に全体での共有化のために各グループから報告を受けました。
異口同音に出たのは、表示を求める意見でした。
日時 | 2019年9月5日(木)13時30分~16時 |
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会場 | 横浜第二合同庁舎 3階 関東農政局神奈川県拠点 会議室 横浜市中区北仲通5-57 |
主催 | 農林水産省関東農政局消費・安全部消費生活課 |
テーマ | ①ゲノム編集技術とは ②ゲノム編集技術応用食品の表示のあり方について |
参加 | 行政関係を含めて約55名 |
次第:
挨拶:湯村 勇治 関東農政局 消費・安全部消費生活課課長
学習:
「ゲノム編集技術を利用して得られた生物に係る取扱方針(環境省公表)を受けた 農林水産省の対応について」
髙島 賢 農林水産省 消費・安全局 農産安全管理課 審査官
「ゲノム編集技術応用食品の表示の在り方について」
蓮見 友香 消費者庁 食品表示企画課 課長補佐
グループ討議
各グループ発表
関係者では、元木朱美(パルシステム神奈川ゆめコープ)、三枝みさ子(ユーコープ)、山崎初美(コンシューマーズかながわ)、桜井薫(生活クラブ生協神奈川)、郷野智砂子(ユーコープ)の皆さまがグループ討議内容を紹介し、全体で共有しました。
意見交換
参考
パルシステム生協連合会
ゲノム編集技術の利用により得られた生物のカルタヘナ法上の整理及び取扱方針について(案)に対する意見
「農林水産分野におけるゲノム編集技術の利用により得られた生物の情報提供等に 関する具体的な手続きについて(骨子)(案)」についての意見
生活クラブ生協連合会
ゲノム編集技術によって作られたすべての食品原料に対する規制が確立するまで市場流通に反対します
生活クラブ連合会がゲノム編集食品を受け入れない特別決議を総会で採択
ゲノム編集技術で作られたすべての食品と添加物の規制と情報開示を
ゲノム編集作物の規制ルールについて、アメリカ農務省にパブリックコメントを提出しました
神奈川県生協連
日本生協連
「ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領(案)」への意見
東都生協
ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領(案)に対する意見