「横浜IR(統合型リゾート)の方向性(素案)」に対する意見(神奈川県消団連)

2020年03月30日

横浜市都市整備局IR推進課
横浜IR(統合型リゾート)の方向性(素案)パブリックコメント担当様

「横浜IR(統合型リゾート)の方向性(素案)」に対する意見

神奈川県消費者団体連絡会
横浜市港北区新横浜2-6-13
新横浜ステーションビル9階
事務局長 庭野 文雄

1.意見の主旨

今回発表された「横浜IR(統合型リゾート)の方向性(素案)」(以下、「素案」という)で示された「横浜IR(統合型リゾート)」推進の方針に対して、以下の理由から反対します。

 

2.上記意見に至った理由

(1)多くの市民が反対している中で、IRを推進する手続き的な正当性がありません

「横浜市では、『共感と信頼』を市政運営の基本としています」と「素案」には記載されています。市民の意見を尊重し、IR誘致の見直しを行うことが市民の共感と信頼を得る道だと考えます。

しかしながら、この間の各種の調査等では、多数の反対意見があることが明らかになっています。2018年9月の横浜市中期4か年計画(素案)に関するパブリックコメントでも、IRに関する意見は全体の20.3%(433件)と、市民の関心が最も高く、このうち94%(407件)がカジノ反対を表明しています。また、この間の新聞社等の意識調査においても、カジノ誘致反対が多数を占めています(昨年9月の朝日新聞横浜市民調査ではカジノ誘致に賛成26%、反対64%。今年1月共同通信社の全国調査では「見直すべきだ」が70.6%)。これらの結果は、明らかに、市民の共感と信頼は得られていないと考えるべきです。

さらに、林市長は、2017年の市長選ではIR誘致に対して「白紙の状態」と表明して、選挙で民意を問うていません。こうした中でIRを推進することは、手続き的な正当性がないと言わざるを得ません。

横浜市民に多大な影響を与えるIR誘致については、市民の意見を踏まえて判断すべきだと考えます。

 

(2)ギャンブル等依存症者が確実に増加します

今回の「横浜IR(統合型リゾート)」について市民が抱くもっとも大きな不安のひとつは「ギャンブル等依存症」です。「素案」は、100ページ中24ページを充てて、「ギャンブル等依存症」に対する対策を記載しています。しかし、これらの対策によって「ギャンブル等依存症」を減少させることはできたとしても、根絶できるとは考えられません。カジノでのギャンブル行為によって「ギャンブル等依存症」が一定の確率で発生する以上、新たな「ギャンブル等依存症」の発症者をなくすには、ギャンブル行為をさせない、つまりカジノをつくらないということしかないと考えます。

「素案」では、「過去1年以内の依存が疑われる者の割合」(ギャンブル等依存症者)は、成人の0.8%という現状の数字が紹介されています。同じ割合だとすると、横浜市の成人人口を約300万人として、2万4千人がギャンブル等依存症を新たに発症する危険があります。

他人の不幸の上に立った「にぎわいと経済効果」を横浜市民が求めているとは考えられません。市の使命は、「開港以来大切にしてきた横浜の歴史や文化を守り、子育て、医療、福祉、教育など、市民の皆様の安全安心な生活を将来にわたって支えていく」(「素案」)ことだと考えます。

以上