神奈川県議会 令和2年第3回定例会で「預託法等の改正及び執行強化を求める意見書案」が全会一致で可決されました

2020年12月24日

神奈川県議会令和2年第3回定例会(9月7日~12月17日)において、「預託法等の改正及び執行強化を求める意見書案」が全会一致で可決されました。

意見書は、「悪質商法による消費者被害をなくすために、預託法の改正及び執行強化、並びに特定商取引法の改正、同法指針の改正及び執行強化を求める請願」として、内閣総理大臣認定適格消費者団体・特定非営利活動法人消費者支援かながわ並びに神奈川県生協連から高橋延幸議員と永田磨梨奈議員を紹介議員として防災警察常任委員会に出され審査を受け、防災警察常任委員会の原聡祐議員、浦道健一議員、ためや義隆議員、石川巧議員、米村和彦議員、京島けいこ議員、藤代ゆうや議員、小野寺慎一郎議員、国松誠議員、小島健一議員、相原高広議員、土井りゅうすけ議員、たきた孝徳議員により「預託法等の改正及び執行強化を求める意見書案」として提案され、12月17日に本会議で可決されました。

また、請願にあたり長田進治議員に相談に乗って頂きました。議員の皆さま、ありがとうございました。

預託法等の改正及び執行強化を求める意見書

近年、各種技術の進歩を踏まえた様々な製品・サービスの普及等の一方で、新製品・サービスの内容等を、十分に理解できていない消費者のぜい弱性につけ込む巧妙な悪質商法による被害が増加している。
こうした状況を踏まえ、本年8月19日に消費者庁の「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」(以下「検討委員会」という。)において、今後の対応に関する報告書が取りまとめられた。
特に、過去に大規模な消費者被害をもたらした悪質な販売預託商法については、「販売を伴う預託等取引契約については、本質的に反社会的な性質を有し、行為それ自体が無価値(反価値、“Unwert”)であると捉えるのが相当」であることから、特定商品等の預託等取引契約に関する法律(以下「預託法」という。)において、原則禁止とされた。
消費者取引の分野では、定期購入であることを容易に認識できないような形で契約を行うものや、解約はいつでも可能としながらも相手方との連絡が取れないなどの、いわゆる詐欺的な定期購入商法に関する相談が増加しており、深刻な事態となっている。
また、新型コロナウイルス感染症拡大による消費者の不安につけ込む、いわゆる送り付け商法についても、社会問題となっている。
検討委員会の報告書では、消費者のぜい弱性につけ込む悪質商法の手口の巧妙化・複雑化には、断固とした対応が必要として、法執行の強化や実効性ある制度改革が提言された。これを踏まえた実効的な法制度の整備が必要である。
よって国会及び政府は、消費者被害をなくすために、次の事項を実施するよう強く要望する。

  1. 検討委員会報告書を踏まえ、来年の通常国会を目途に、販売預託商法を原則禁止とする預託法の改正に向けた検討を早急に進めること。
  2. いわゆる詐欺的な定期購入商法をなくすため、来年の通常国会を目途に、特定商取引に関する法律に係る指針の改正及び法執行強化を図ること。
  3. いわゆる送り付け商法については、現在の法規制の内容の周知を図ることに加え、諸外国の法制も参考に制度の改正を検討すること。
  4. 国及び地方自治体が厳正かつ適切な法執行を行えるよう、執行体制や連携の強化を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年12月17日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣        }殿
法務大臣
内閣府特命担当大臣
(消費者及び食品安全)
消費者庁長官

神奈川県議会議長

請願文書はこちら

意見書の背景

消費者庁「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会(以下、検討委員会)」では8月19日に報告書がまとめられ、公表されました。

この報告書には、大きな社会問題となった豊田商事・安愚楽牧場・ジャパンライフ・ケフィア事業振興会・WILL(株)など、高齢者をはじめ、多くの消費者に財産被害を及ぼす悪質な販売預託商法については、本質的に反社会的な性質を有し、行為自体が無価値と捉え、「販売を伴う預託等取引契約の原則禁止等」と明記されました。

また、消費生活相談で増加している、お試しのつもりが定期購入問題は規制を強化、消費者の不安につけ込む、マスクなどの送り付け商法(ネガティブオプション)についても、何ら正常な事業活動とはみなされないものとして制度的な措置を講じる必要があるとされました。

この報告書の内容に沿って法改正が早期に進められることを望み、全国の消費者団体では弁護士会の皆さまとともに学習会や地方議会から国への意見書提出を働きかける取り組みが進められています。

神奈川県生協連でも消費者支援かながわ並びに神奈川県消団連とともに、11月27日に消費者庁の笹路健取引対策課長に協力を頂きオンラインで緊急学習会を行いました。