4月7日は世界保健デー ~すべての人に健康を」(Health for All)~ [神奈川県消団連]

2019年04月18日

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

2019年世界保健デー のテーマは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ

今年の世界保健デーのテーマは、昨年に引き続きUniversal health coverage (UHC) です。UHCはWHO(世界保健機関)にとって最大の目標です。世界のすべての地域や国で進歩がみられますが、まだ数百万人もの人びとがヘルスケアの恩恵を全く受けることができていません。

テーマ :「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:誰もがどこでも保健医療を受けられる社会に」(Universal Health Coverage: everyone, everywhere)

スローガン: 「すべての人に健康を」(Health for All)

WHO4.7世界保健デーとは、WHOが設立された1948年4月7日を記念して設けられたものです。毎年全国の医療福祉生協では世界保健デーに合わせて、組合員・職員が街頭での健康チェックなどの企画を行っています。

 

WHOは年次報告書「世界保健統計」で、「2000年からの16年間で世界の平均寿命が5.5歳延び、2016年生まれの子どもの平均余命は72年 (男性は69.8歳、女性は74.2歳) 」であると発表しました。5歳未満の子どもの死亡率が大幅に減少したことや、HIV、AIDSの予防と治療が進展したことが平均寿命の延びに寄与したそうです。

女性が医療にアクセスできれば、母親の死亡は減少し、平均寿命が延びます。多くの場合、男性は女性に比べて医療にかかることが少なくなっています。男性は予防かつ治療可能な非感染症の疾患及び交通事故で死ぬ確率が高くなっています。

一方、高所得国の平均寿命が80.8歳であるのに対してアフリカなどの低所得国は62.7歳であり、国の豊かさによる格差が明らかになったと指摘し、低所得国における基本的な医療へのアクセスの確保が課題としています。

WHOによると「健康格差」を生み出す要因は、所得、地域、雇用形態、家族構成の4つが背景にあるとしています。

この「健康格差」は他人事ではありません。私たちの日本でも子どもから現役世代、そして高齢者にいたるまで、すべての世代に「健康格差」が忍び寄っています。

 

政府は昨年8月から、一定の所得(単身世帯で340万円以上)を超える介護保険利用者の利用料を3割に引き上げました。この影響について神奈川県内の病院・診療所・老人介護保健施設・グループホーム・保険薬局・ヘルパーステーション等で構成する神奈川民医連で、3割引き上げ影響調査を訪問介護ステーションや居宅介護支援事業所、介護老人保健施設などの加盟する全51事業所で調査をしています。

その結果を見ると、3人に1人に影響が出ており、サービス利用を「中止した」「減らした」「控えることを検討している」ことや、生活面での影響では「生活費を切り詰めている」ことが浮き彫りとなっています。

はじめのうちはサービスを控え節約してやりくりをして何とかしようとしても、長期間続けられるのでしょうか。自分でがんばろうとしてもしわ寄せは、確実に食生活への影響や利用者と家族の孤立に向います。

WHOの憲章第1条では、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として謳い、持続可能な開発目標(SDGs)の目標3は「すべての人々が健康で暮らせるための福祉を推進する」です。この達成のカギとなるのはユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)「すべての人が適切な保健・医療サービスを支払い可能な費用で受けられること」に他なりません。

 

あらゆる年齢の、すべての人たちが、健康で安心して暮らすことができるように、福祉を推進します。

この精神からすると真逆である、拡大する健康格差。誰もが、安心して暮らしていけるように、税金の使い方など抜本的な見直しが必要です。