消費者契約法改正に向けた専門技術的側面の研究会報告書に関する意見 NEW!

2019年10月10日

神奈川県消費者団体連絡会
事務局 庭野 文雄
横浜市港北区新横浜2-6-13
新横浜ステーションビル9階
TEL:045-473-1031
Fumio.Niwano@ucoop.or.jp

 

【対象】 

「1 いわゆる「つけ込み型」勧誘について (1)【考え方Ⅰ】消費者の判断力に着目した規定」に対する意見

【意見内容】

「①判断力の著しく低下した消費者が、②不当な内容の契約を締結した場合には、契約を取り消すことができる旨の規定を設けること」には賛成です。

しかし、「②について、(ア)消費者の生計に著しい支障を生じさせる契約について消費者に取消権を付与すること」については疑問があります。

また、「(イ)親族等の適当な第三者が、契約の締結に同席するなどの一定の関与をした場合には、これを考慮して取り消しの可否が決まるような規律を設ける」ことには反対です。

【理由】

「消費者契約法改正に向けた専門技術的側面の研究会報告書」(以下、「報告書」という)にも記載のある通り、消費者契約法の規律については、要件の明確化と併せて、汎用性を有する規定を設けることを基本的な方針とすべきものと考えます。

その視点から、第一に、②の「不当な内容」の内容を画するにあたって、(ア)「生計に著しい支障」を生じさせた場合と、(イ)「第三者の関与」の2つについて規律を設ける意味が、代表例なのか限定列挙なのか、その意味するところが不明です。現実の消費者被害の態様は千差万別であることからすれば、(ア)と(イ)の規律はむしろ不要で、汎用性を重視する見地から「①判断力の著しく低下した消費者が、②不当な内容の契約を締結した場合には、契約を取り消すことができる旨の規定を設けること」のみで足りるのではないかと考えます。

第二に、(ア)「生計に著しい支障」については、商品・財産の重要度に着目するのか、消費者の財産状況に着目するのか、後者の場合に事業者が知っていた場合に限定するのか等について技術的な問題が残されていると考えます。上記の通り、「生計に著しい支障」を生じさせるような契約は、取り消しに値する「不当な内容」の契約であるという解釈で十分ではないかと考えますので、この規定を設けることについては疑問です。

第三に、(イ)「第三者の関与」については、「適当な第三者」が誰を意味するのか、いかなる「関与」をもって取り消しの可否を判断するのかについて明確にすることは困難だと考えます。この問題は、「報告書」に記載の通り、判断力が著しく低下している消費者を、本人以外の者ひいては社会がどのように支えるかの問題であり、また、契約の締結に関与する第三者に過大な責任を負わせないようにする等の観点も必要であることから、拙速に「規律を設ける」ことには反対です。

 

【対象】

「2 平均的な損害の額の立証負担の軽減について (1)【考え方Ⅰ】推定規定の創設」に対する意見

【意見内容】

「推定規定の創設」は賛成します。

しかし、消費者被害の救済のためには、さらに、もう一歩進めて、消費者が平均的な損害の額を超える損害を受けたことについて合理的な疑いを提示することで、事業者が「平均的な損害」の算定根拠を提示する義務を負うような制度設計を要望します。

【理由】

「平均的な損害額」について基本的には消費者が主張・立証責任を負うとしている現在の判例の立場からすると、消費者被害の救済は容易でなく、「考え方」に示された推定規定を創設することは消費者保護を進める観点からは必要な規定であると考えます。

しかし、立証のために必要な資料については主として事業者が保有していることからすれば、「同種の事業者に生ずべき平均的な損害の額」を立証することを消費者に求めることでさえ、現実的には相当程度の困難を伴うと考えます。「報告書」に記載の通り、「解約料」に関するトラブル件数は今後とも拡大していく危険性があることからも、消費者被害を減少させていくためには、基本的には立証責任を事業者に転換していく方向で検討することが求められていると考えます。

以上