訪問系サービスの新型コロナウイルス対策の要望書(神奈川高齢者生活協同組合)

2020年04月30日

厚生労働大臣 加藤 勝信 様

生活協同組合・東京高齢協 理事長 田尻孝二
神奈川高齢者生活協同組合 理事長 星野宗吾

 

訪問系サービスの新型コロナウイルス対策の要望書

首都圏では日々感染者が拡大しています。私たちは高齢者・障がい者を対象にした訪問系の介護サービスを提供しています。施設系でのサービス縮小や利用者自身が通所を望まないなどの事態が生まれる中、私たちのような訪問系サービスで働く介護従事者は、十分な情報がないまま、サービス提供の継続を求められています。

介護に携わる者は、強い使命感を持ち覚悟も有しています。ホームヘルパー不足の中でも、感染の不安と闘いながら働き続けています。生活支援サービスには高齢ヘルパーが多く就労していますが、新型コロナは高齢者が罹患した場合、重篤になる率が高いと言われています。

感染による自宅待機や濃厚接触など感染の疑いがある利用者(家族も含め)への対応なども増加しており、さらに、デイサービスやショートステイなどの休止により、訪問介護に代替する希望が増えることも予想されます。今後も感染拡大が進めば、訪問介護の担い手が足りなくなり、サービス提供ができなくなる事態も十分予想されます。

また、これを機に特に高齢ヘルパーの離職が進み、人手不足は一層深刻となるでしょう。このままでは、介護保険制度を軸として行政と民間事業者が協働で築き上げてきた地域の高齢者福祉が崩壊します。

訪問介護は、利用者の方の「命と健康と生活」を守るための最後の砦です。その最前線で働く介護従事者が、できる限り安心して仕事を継続できるよう国の積極的なサポートを是非とも望みます。

 

1、サービス提供時のルール作成

現段階では感染の疑いのある利用者を訪問する際の注意点が明確にされていません。また、ヘルパーの発熱や体調不良での休業は既に発生していますが、事業者の対応について具体的な指示がありません。

Q&Aに「感染リスクを下げるため、指定を受けたサービス の形態を維持しつつ、サービス提供時間を可能な限り短くする工夫」とありますが、短縮できる内容について具体例を示してください。

想定される様々の場面で、対応を事業者の個別の判断に委ねるならばブレが生ずるのは必定です。関係機関やケアマネージャーとの調整にも時間がかかります。当該利用者のサービス担当者が共通して拠り所とするルールが必要と考えています。

《要望》

(1)濃厚接触や感染の疑いがある利用者を訪問する場合、区市町村や保健所などが責任をもって事業者に対応するよう、具体的な指示を出すこと。

(2)ホームヘルパー向けの具体的かつ分かりやすい訪問時のマニュアルを早急に作成し、事業者に周知徹底すること。

(3)訪問時のリスクを軽減するため時間短縮を図る際のサービス内容について基準を示すこと。

 

2、介護従事者の安全確保

ウイルス防御のための物品が入手困難です。マスクや消毒用アルコールはまったく足りていません。備え置きの必要を感じている防護服も手に入っていません。ヘルパーの不安は身を守るものが十分でないことで、さらに増しています。

働く者の不安の解消と安全の備えを、事業者のみの力で行うのは困難です。訪問系サービスには中小の事業者も多く、経営的に苦境に立たされています。これまでも、閉鎖や倒産が相次ぐ状況でした。コロナの感染が拡大してからは、利用減、ヘルパー休業による代行の発生、感染予防対策の費用など、経営がさらに厳しくなっています。

今日も変わらず働いている多くのヘルパーが、安心してサービス提供に入れる環境整備に国の力を貸してください。

《要望》

(1)マスクや消毒用アルコール、防護服等の感染予防の物品を速やかにかつ優先的に無償で支給すること。

(2)鎮静化までの一定の期間、予防対策や従事者への特別手当に充てる費用を介護報酬に付加すること。

(3)雇用調整助成金は条件が厳しく、対象となる事業者は限定されるため、要件の緩和を行うこと。利用高5%の減少の利用高要件から、「処遇改善加算」などは除外すること。

 

(連絡先)

生活協同組合・東京高齢協
東京都豊島区南大塚3丁目43番12号
Tel 03-5904-9011 Fax 03-5904-9012
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